蜘蛛、再び。

最近、学園の話題を賑わせている土蜘蛛の話。
紗夜子さんのように、学園の仲間として迎えられたはず。
彼女らとは別組織なのか、再び戦乱の中にある土蜘蛛集団。

その調査の中・・・。

ざざっ、ざざっ・・・

ここは銀誓館学園の校舎から少し離れた、小高い丘。
今までゴーストや来訪者達と戦い、命を落としていった者達が眠る場所。
今週、また１人ここの住人となった者がいた。

神夜・佑貴さん。

高校3年の先輩。
卒業式も終わり、４月からは銀誓館学園初めての卒業生として、社会に出て行くはず、だった。
それなのに・・・。

「先輩・・・。」

衛は、手にした花束を墓前に掲げた。
すでにかなりの数の来訪があったのだろう。
墓前は真新しい花で埋め尽くされ、今回の事件の重大さを物語っていた。


担任から訃報を聞いたときは、ショックを隠し切れなかった。
先輩とは面識もなかった。
それでも、心にトゲが刺さったように、辛かった。
涙を流すクラスメイトもいた。

大きな戦争が起こる度、来訪者との戦いが激化する度に思うこと。

ボク達は、命をかけて闘っているんだってこと。
その命をムダにすることなく、闘い続けなければならないんだってこと。

衛は手を合わせ、丘の新たな住人となった彼女に黙祷をささげた。

「・・・、・・・。」

（先輩、今は安らかに眠ってくだっさい。
そしていつの日か、貴女の意思を継ぐ方との出会いを楽しみにしておりまっす。）

衛はそっと目をあけ、来た道を引き返していった。
新たな決意を胸に秘め。